訪問歯科でケアマネから紹介が来ないときに見直したい4つのポイント

施設・ケアマネ連携

訪問歯科を始めてから、地域の居宅介護支援事業所へ挨拶に回った。名刺もパンフレットもお渡しした。それなのに、ケアマネジャーからの相談や紹介がなかなか来ない。
そんなふうに感じている医院もあるかもしれません。
以前の記事では、訪問歯科の患者が増えない理由の一つとして、ケアマネジャーとの間で書類のやり取りがあることと、実際に相談してもらえる関係があることは同じではない、というお話をしました。

関連記事:訪問歯科を始めたのに患者が増えない理由|営業の前に確認したい5つのポイント

今回は、その中のケアマネジャーとの連携に絞って、もう少し深く整理します。

お伝えしたいのは、ケアマネジャーへの営業方法ではありません。挨拶をしたことと、紹介される状態になっていることは別で、最初の相談を受けたあとの対応まで含めて「困ったときに思い出してもらえる歯科」になっていくことが大切だ、ということです。

私がこれまで多くのケアマネジャーと連携してきた経験をもとに、紹介の前から紹介の後までの流れに沿って、見直したいポイントを4つにまとめました。

ケアマネからの紹介は『営業の回数』だけでは決まらない

最初に、前提として確認しておきたいことがあります。私の経験では、ケアマネジャーからの紹介(主に在宅の患者さん)は、毎月一定して入ってくるものではありませんでした。続けて相談をいただく時期もあれば、しばらく間が空く時期もありました。

そのため、「今月は何件紹介があったか」「何か所に営業に行ったか」という数字だけを追っていると、関係づくりがうまくいっているのかどうかが見えにくくなります。見ておきたいのは、件数よりも、歯科への相談が必要な患者さんが出てきたときに、自院を思い出してもらい、相談してもらえる関係になっているかどうかです。ここからは、その関係がどのようにできていくのかを、4つのポイントに分けて見ていきます。

紹介につながるまでに見直したい4つのポイント

1.「訪問歯科をやっています」だけで、相談できる内容が伝わっているか

事業所へ伺うとき、「当院は訪問歯科をやっています」「ご自宅にも伺えます」とお伝えすることは多いと思います。もちろん、それ自体は必要な情報です。ただ、この案内だけでは、どのようなときに歯科へ相談してよいのかまでは伝わりにくいことがあります。

歯科への相談のきっかけは、虫歯や歯周病といった病名とは限りません。たとえば、食べる量が減ってきた、食事中にむせることが増えた、入れ歯を外したままになっている。こうした生活の中の変化も、歯科に相談できることがあります。

「訪問歯科をやっています」という案内に加えて、どのような変化があれば相談してよいのか、という相談の入口まで伝えられているか。ここが、紹介につながるまでの最初の段階だと考えています。

2.『知っている歯科』から『困ったときに相談する歯科』になれているか

挨拶に伺い、名刺交換をすれば、自院のことは知ってもらえます。ただ、私がケアマネジャーと関わってきた中で感じていたのは、知ってもらうことと、困ったときに相談してもらえる相手になることは、別のことだということです。私自身、ケアマネジャーの事業所へ「営業」として伺ったのは、多くが最初の1回程度でした。

その後は、営業のためだけに何度も訪問するというより、実際に患者さんをご紹介いただいた後の報告や書類の受け渡し、患者さんについての相談など、日々の連携の中で顔を合わせる機会が増えていきました。私の場合は、こうした日々の連携そのものが、次の関係づくりになっていました。

まず一人の患者さんについて相談をいただく。実際に対応する。その後も必要な情報をやり取りする。そうした実務の積み重ねの中で、「この歯科になら相談できる」という関係ができていったと感じています。実際に、ケアマネジャーご自身が担当の利用者さんの口のことで困ったときに相談をいただき、対応したことをきっかけに、その後も別の患者さんについて相談をいただくことがありました。名刺交換をしたかどうかではなく、実際の患者さんを通じたやり取りを重ねられているか。私の経験では、その積み重ねが「知っている歯科」を「相談する歯科」に変えていきました。

3.最初の1件にどう対応しているか

では、最初の相談をいただいたとき、どう対応するか。私は、初めてのケアマネジャーから依頼をいただいた場合、可能な範囲で、初回の歯科検診に立ち会っていただけないかお願いしていました。立ち会っていただけたときは、その場で改めてご挨拶をし、一緒に患者さんの様子を見ながら直接お話しして、その後のご報告につなげていました。普段のやり取りは電話が中心になるので、患者さんのところで実際に顔を合わせることで、関係が深まったと感じています。

営業に伺った人と、実際に診療や連携を担う人が分かれていると、最初の相談で築いた関係がその後につながりにくくなります。営業から最初の依頼、初回の訪問、その後の連携までを、できるだけ一続きにしておくことを意識していました。

また、依頼をいただくときの情報の受け取り方も大切です。既往歴などの書類に加えて、今どういう状態なのか、最近どう変わったのか、なぜ歯科に相談しようと思ったのか、といったことまで共有していただけると、初回訪問時に患者さんの状況を把握しやすく、必要な対応も整理しやすくなりました。書類がそろうのを待つだけでなく、こうしたことを歯科側からも確認するようにしておくと、最初の1件への対応が変わってきます。

4.紹介後に、ケアマネへ情報を返しているか

紹介をいただいた患者さんの診療が始まると、歯科側の意識は、どうしても目の前の診療に向きがちです。ただ、ケアマネジャーとの関係は、紹介をいただいたところで終わりではありません。2でも触れたように、私は紹介後も、書類の受け渡しや患者さんについてのやり取りを通して、ケアマネジャーとの連携を続けていました。特に、患者さんの状態に変化があったときや、ケアマネジャーにも共有しておいた方がよいことがあったときには、こちらから電話でお伝えするようにしていました。

紹介をいただいて診療を始めたら、その後は歯科だけで完結するのではなく、必要な情報をケアマネジャーにも返していく。そうしたやり取りを重ねることで、患者さんのことを一緒に見ていく関係になり、その積み重ねが次の相談にもつながっていったと感じています。

ケアマネとの関係は「営業」より「連携の積み重ね」でできていく

ここまでの4つのポイントを、流れとしてまとめると次のようになります。どのようなときに相談してよいかを知ってもらう。困ったときに相談してもらう。最初の1件に丁寧に対応する。紹介後も情報を返し、連携を続ける。そして、また次の相談をいただく。

ケアマネジャーとの関係は、一度の営業でできあがるものではなく、こうした連携の積み重ねの中でできていくものだと考えています。ケアマネジャーから紹介が来ないと感じたときは、営業の回数を増やす前に、この流れのどこで止まっているのかを見直してみてください。挨拶はしているけれど、相談の入口が伝わっていないのか。相談はあったけれど、最初の1件のあとが続いていないのか。紹介後の情報のやり取りが途切れていないか。止まっている場所によって、見直すことは変わります。

院内でケアマネ対応が止まっていないかも確認する

ケアマネジャーとの関係は、窓口になる一人の努力だけでは続きにくいものです。相談の電話を誰が受けて、誰につなぐのか。診療後の情報を、誰がケアマネジャーへ返すのか。こうしたことが院内で決まっていないと、3や4の対応が途中で止まってしまうことがあります。

院内体制については、以前の記事でも触れています。

関連記事:訪問歯科の施設営業は何から始める?介護施設へ行く前に知っておきたい4つの視点

無料の「訪問歯科運営診断」

「ケアマネジャーや施設から、新しい相談がほとんどない」「紹介してくれる相手が、特定の1〜2件に限られている」こうした状態も含めて、自院の今の状況を整理したい場合は、無料の「訪問歯科運営診断」をご利用ください。

20の質問に答えることで、依頼の入口、施設・ケアマネジャーとの連携、院内体制など、今どの領域に見直しの余地がありそうかを確認できます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました